HIVに感染した時の治療法はエイズを発症しないように薬を飲み続けることです。
しかしそこには薬を服用する患者が必ず直面する問題があります。
それは
副作用。
このことはHIV治療をする時に必ず知っておかなければならないことです。
また、担当の医師と相談しながら解決していかなければならない問題でもあります。
治療薬とその副作用についての知識をあらかじめ持っておきましょう。
HIVの治療期間について
HIVの治療薬は一生飲み続けなければなりません。
理論上ではHIVウイルスは治療薬を飲み続ければ70年以上で消滅すると言われています。
HIVを発症する年齢と人間の寿命を考えたら、薬を飲み続けることで完治する事はほとんどないといっても良いでしょう。
少し前まではCD4値が低下してから薬を服用して治療が開始されていました。
これは長期関服用することで起こる副作用を出来るだけ防ぐためでしたが、
早期に治療を開始するメリットが認められて治療の開始が早くなりました。
これにより、予後の経過は改善されたのですが、副作用がより問題視されるようになりました。
HIVの治療に使われる薬剤
抗HIV薬の種類は現在主に次のようなものがあります。
・NRTI(ヌクレオシド系逆転写酵素阻害薬)
・NNRTI(非ヌクレオシド系逆転写酵素阻害薬)
・PI(プロテアーゼ阻害薬)
・INSTI(インテグラーゼ阻害薬)
・CCR5阻害薬(侵入阻止薬)
これらの薬は原則として3剤以上を合わせて服用します。
どれも細胞でHIVウイルスの増殖を抑えているにすぎないので、
例え症状が改善されても服用し続けなければなりません。
これらの薬を服用する時には副作用を伴う事があります。
どんな副作用があるのか
ではHIVの治療薬でどのような副作用があるのでしょうか?
◆短期的な副作用
最も多くみられる副作用で、薬を飲み始めてからすぐに現れます。
・胃腸に出る症状
下痢、吐き気、嘔吐、腹痛、食欲不振
・頭痛
・不眠
・中程度までの発疹(薬を飲み始めてから1~3週間後くらいに)
これらの症状が常に続く訳ではなく、出たりでなかったりすることが多いようです。
短期的に出るものは一時的に出る症状が多く、服用する薬剤によって頻度も様々です。
◆長期的な副作用
長期的な副作用としては治療が難しく、深刻なものも多くあります。
・肝機能障害
・腎機能障害
・心血管疾患
・精神神経系症状
・脂質異常症
・リポアトロフィー
・乳酸アシドーシス
・糖尿病
・骨壊死
・骨粗しょう症、骨異常
・非エイズ関連腫瘍
特に代謝に関するものが副作用として見られます。
では、長期的な副作用として挙げられた症状と服用される薬剤についてはどんな関係があるのでしょうか?
HIVの治療薬とその副作用の関係
上に挙げた副作用がどんな薬を服用したと気に現れる可能性があるのかをみていきます。
◆脂質代謝異常・動脈硬化性疾患
NNRTI、PIを使用した抗HIV治療で出やすい副作用です。
高コレステロール血症や高中性脂肪血症が増えることが判明しています。
この結果、動脈硬化等の原因となります。
脂質異常はPIによって起こりやすいといわれています。
◆肝機能障害
肝機能障害は全ての抗HIV薬で起こる可能性があります。
脂肪肝、肝腫大はNRTIで起こりやすいとされています。
◆腎障害
PIで腎臓結石が起こりやすいといわれています。
また、全ての抗HIV薬で慢性腎疾患の可能性があります。
◆リポアトロフィー
内臓脂肪の増加で起こる症状です。
手や足、顔の脂肪が減って行き、腹部の脂肪が増えます。
こちらは精神的にな苦痛が伴います。
◆乳酸アシドーシス
吐き気、嘔吐、腹痛などが起こりますが、代謝障害としては致命的です。
NRTIを服用で起きる副作用です。
発症率は1000分の1.3人と言われています。
◆薬疹
NRTI、NNRTI、PIが原因で起きる副作用です。
ABCと言う名前のNRTIの薬で起きる過剰反応は重篤な症状になることもあります。
◆骨壊死・骨減少症
HIV患者は骨密度が低くなるといわれています。
この骨壊死と骨減少症は大腿骨頭(太腿の付け根部分)多く起きます。
その名の通り、骨が壊死していく症状です。
◆免疫再構築症候群
IRISとも呼ばれる症状です。
抗HIV治療で免疫力が復活して再構築する時に現れます。
その症状としては帯状疱疹、非結核性抗酸菌症、サイトメガロウイルス感染症、ニューモシスチス肺炎、結核症などが見られます。
ここに挙げた副作用が出た場合、同じ薬を続行するのかは医師との相談と症状の程度によります。
状態によっては抗HIV薬を変更することもあります。
抗HIV薬の変更が行われるとき
症状や本人の希望などで次のような時に変更が行われます。
◆薬剤の効果よりも副作用のリスクが上回ったとき
日常生活に影響が大きい副作用の時や、薬を飲めないくらいの状態の時に変更が行われます。
例えば、吐き気がひどくて、薬自体が飲めない状態のときや眠気や胃腸障害がひどい時です。
また、代謝機能に支障がある副作用でリスクが高まった時です。
この際はそれぞれに影響しにくい薬剤に変更されます。
いずれにせよ、HIV薬の効果とリスクを見ながら現れた症状を治療しながら同じ薬を続けるのか、変更するのか選択していくので、必ず医師の判断に従いましょう。
◆妊娠、出産をする時
胎児に影響の少ない薬剤に変更されます。
妊娠と出産は医師との相談が必要です。
女性がHIVに感染している場合は、人工授精や体外受精を行って妊娠します。
男性がHIVに感染している場合は、精子からHIVを取り除いて人工授精させます。
この場合は出産も母子感染を防ぐために帝王切開で行います。
◆新薬が開発された時
現在も薬や治療法の開発は進んでいるので、より症状に合ったものが開発されれば変更される場合もあります。
治療は常に医師との相談を続けながら行われるのですが、抗HIV薬の服用には必ず指示に従うようにします。
治療中に注意すること
治療中は必ず、医師の指示に従って少しでも異変があったらすぐに連絡をとるようにします。
薬を服用するうえでも次の点には注意してください。
・通院を止めない
体調がよくなっても抗HIV治療薬は飲み続けなければいけないので、検査や診察は定期的に行ってもらうようにします。
その際に薬の処方もしてもらうので決して油断しないでください。
・薬は処方通りに飲む
決められた時間に決められた量を飲むようにします。
飲み忘れが起きないように、また、飲み忘れた時には医師と薬剤師の指示で飲むようにしてください。
飲んだり飲まなかったりした場合は、抗体が出来て薬が効かなくなってしまう事があります。
HIVの治療薬による副作用は現時点では避けられないものと言えます。
新しい薬も開発が続けられているので、副作用が出にくいものも現れる可能性もあります。
常に自分の状態を診断してもらって適切な治療薬の服用が出来るようにいつも主治医と連絡が取れるようにしておきましょう。
何か体調に異変があればすぐに診断してもらえるよう信頼関係を築いておくことが重要です。
自宅で出来る検査キット
さくら検査研究所
匿名検査!◆性病検査 STDチェッカー
HIV検査キットの使用を勧める本当の理由
コメント 0