HIVに感染した時に出現れる皮膚疾患の症状については以前の記事
HIVの発症時に出る発疹とはどういうものか?で触れましたが、
今回は具体的に感染後のウイルスの状態ととCD4T陽性リンパ球数(以下CD4数)の減少についてお話します。
HIV感染以外にも現れるものなので、この症状がみられるからと言ってHIVであるという確実な判断はできません。
でも、症状が現れる以前にHIVに感染したかもしれないような事実があった時には検査を受けるきっかけになります。
初期症状は90%の人に現れるのですから、それを判断材料に早期治療と悪化を防ぐことを考えましょう。
皮膚の症状と感染後にどんなことが起こっているかを知ることで症状が治まってもエイズ発症の危険が無くなった訳ではなく、積極的に検査を受ける動機づけにもなります。
HIVで現れる皮膚疾患の症状
前回の記事でも説明しましたが、皮膚疾患をおさらいします。
◆急性期皮疹
HIV感染者の約75%に見られる症状です。
HIVに感染してから3〜6週間までの急性期にあらわれます。
発疹の直径は5〜10mm暗いです。
主に出る箇所は胸や背中ですが、下痢や筋肉痛、発熱を伴う事もあります。
決まった症状があるのではなく、様々な形で現れます。
◆帯状疱疹
HIVの感染によって免疫力が低下し、発症することがある症状です。
原因は水痘・帯状疱疹ウイルスで、体幹を中心に左右どちらかに帯状に赤い発疹と水ぶくれが出来ます。
最初はひりひりするような痛みから始まって、徐々に水ぶくれや赤い発疹になります。
◆単純ヘルペス
HIVに感染することによって免疫力が落ちてくると、単純ヘルペスウイルスによって引き起こされる疾患です。
口唇ヘルペス(口周りにできるもの)と性器ヘルペス(性器回りにできるもの)があります。
どちらも発疹と水ぶくれが集まってできて、付近のリンパ節を腫らしてしまいます。
時には痛みと発熱を伴う事があります。
◆脂漏性皮膚炎
HIVの感染者はかなりの確率で発症する症状です。
これも免疫力の低下により、マラセチア菌というカビの1種が原因で発症します。
脂分泌が盛んな箇所、特に顔や頭にかゆみを伴う赤い発疹が出来ます。
これらの症状はHIV感染のどの過程で現れる可能性があるのでしょうか?
感染後のHIVウイルスとCD4リンパ球数
HIVに感染して2週目から4週目で、ウイルスが急激に増えCD4数が減ります。
これがHIV急性感染症を引き起こす原因で、発熱、リンパ腺の腫れ、発疹、下痢、全身の倦怠感、頭痛などの症状がかなりの確率で現れます。
そしてCD4数の増加によりHIVウイルスは減少します。
これを表したのが下の図です。
出典:http://idsc.nih.go.jp/idwr/kansen/k02_g2/k02_40/k02_40.html
初期症状が現れても自然に治まるのはこのためです。
この時期は
急性初期感染期と呼ばれます。
この時期が終わると、
無症候期と呼ばれる潜伏期間が始まります。
でも注目してもらいたいのはHIVのウイルス量が減少しても一定のレベルを保っている(ウイルス学的セットポイント)のに対して、
CD4数は徐々にですが減少していきます。
長い潜伏期間を経て、CD4数が減少してある一定水準まで下がると、
ウイルス量は再び上昇しています。
無症候期を過ぎて免疫力が下がってくる時期が
エイズ発症前駆期と呼ばれる時期で色々な疾患の症状が現れ始めます。
その後は、HIV 感染がさらに進行するとHIV の増殖を抑制できなくなり、CD4 陽性T 細胞の破壊が進みます。
この時期が
エイズ発症期です。
CD4リンパ球数が200/mm3 以下になると日和見感染症を発症しやすくなり、治療がなされないと余命は2~3年と言われます。
ではそれぞれの皮膚疾患の症状はどの時期に出やすいものなのでしょうか?
感染時期による皮膚疾患の症状
一番最初に取り上げた皮膚疾患の症状が感染期のどの時期に現れるのかを当てはめてみると、
◆急性初期感染期
・急性期皮疹
◆無症候期
特に目立った症状が現れることは少ない。
◆エイズ発症前駆期
・帯状疱疹
・単純ヘルペス
・脂漏性皮膚炎
免疫力の低下により起こりやすくなる皮膚疾患です。
この症状があり、治りにくい場合はHIVの検査をしてみる事をお勧めします。
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でも、初期症状があったのは数年前で、HIVに感染する行為があったかどうか、それ以後も行ったかどうかにもよりますが、記憶は確かではないことが多い筈です。
この時点でHIVの感染を知った場合は一刻も早く医師に診断を受けて治療を開始してください。
◆エイズ発症期
免疫力の低下により、上に挙げた皮膚疾患以外にも日和見感染症と言われる23の症状を発症する状態。
CD4リンパ球数が50/mm3を下回ると
・サイトメガロウイルス感染症
・非定型抗酸菌症
・中枢神経系の悪性リンパ腫
などを発症する頻度が高くなり、食欲低下、下痢、低栄養状態、衰弱が目立ってきます。
この記事では皮膚に現れる症状に的を絞ってお話しましたが、各時期で発熱や下痢、倦怠感などを伴う事も多いです。
HIVに感染していた場合、初期の段階で気付くにこしたことはありません。
体のサインを見逃さないように、少しでも心当たりがあれば保健所や検査キットで検査をしてみることが大切です。
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2016-05-28 20:50
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