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HIVの治療で寿命は伸ばせるのか?

HIVに感染した場合、それは死を意味しました。

でも現在は治療によって感染後の寿命は格段に伸びています。

HIVは特別な性的趣向をもつ人たちの病気ではなく、

誰でも感染しうる病気であることは感染経路に触れた時にお話しました。

日頃の生活を節制して、自分の体調に敏感になることが早期発見に繋がります。

HIVに感染した場合、治療を早く始めることでその後の寿命も決まってきます。




HIVに感染した場合、残された寿命はどのくらいか



医学の進歩によってHIVに感染した後の寿命は1996年以前とそれ以後で大きく違っています。

◆1996年以前の寿命
この当時はHIVに対して効果的な治療法が解明されていなかったため、

感染が判明してからの平均余命は6年から7年でした。
HIVに感染した場合はそれは死を意味するものでした。

◆1996年以降の寿命

これ以後は抗HIV薬による治療法が開発されて、エイズ発症を遅らせることが出来るようになり、

平均余命は35年から40年くらいまで引き延ばされています。

よく、例えに出されますが、

25歳の人がHIVに感染した場合

治療法が解明される前は平均余命は32歳から33歳くらい

治療法が解明されてからは平均余命は60歳から65歳くらい

まで伸びています。

この治療法は薬によるものですが、感染が分かって以後薬をは一生飲み続けなければならないことになります。

HIVの薬による治療法



抗HIV薬はHIVウイルスが増殖する箇所に対してそれぞれ有効な薬が開発されています。

ウイルスが増殖するプロセスは4つの段階を経ます。

・ウイルスがリンパ球に侵入する
・ウイルス遺伝子がひとの遺伝子に組み込まれる準備をする
・人の遺伝子に組み込まれる
・ウイルスのたんぱく質を作り上げる

このような経過でウイルスが増殖するのですが、この各段階に有効な薬を合わせて服用します。

薬はHIVウイルスを絶滅するものではなく、増殖を防ぐものです。

使用される種類は

・侵入阻害剤
・融合阻害剤
・非核酸系逆転写酵素阻害剤
・核酸系逆転写酵素阻害剤
・インテグラ―デ阻害剤
・プロアテーゼ阻害剤

などです。

これらを組み合わせて服用するのですが、一度治療が始まると一生薬を飲み続けなければなりません。

体内のHIVウイルスを完全に根絶させることはできないので、継続が必要になります。

この治療を続けることにより、体内でウイルスが増える事を最小限に抑える事が出来るようになりました。

この薬による治療ですが、問題が2つありあます。

その一つが副作用です。

HIV治療による副作用



HIV治療薬を飲むことによって、少なからずでてくるのが副作用です。

この副作用については以前

HIVの治療薬による副作用とはどんなものか?

で触れていますが、現時点では避けられないものなのとされています。

服用する薬によって

下痢、吐き気、嘔吐、腹痛、食欲不振、頭痛、不眠、発疹

などの軽度のものから

肝機能障害、腎機能障害、心血管疾患、精神神経系症状、脂質異常症、リポアトロフィー、乳酸アシドーシス、糖尿病、骨壊死、、骨粗しょう症、骨異常

など長期的で重いものまで現れる可能性があります。

この副作用が続く場合は必要に応じて医師と相談の上で薬を変更したりします。

注意すべき点は自分で判断して途中で抗HIV薬の服用を止めない事です。

◆抗HIV薬の服用を途中で中止した場合

治療中に抗HIV薬の服用を中止したり、飲んだり飲まなかったり不規則な服用の仕方をすると

人の体内でHIVウイルスが変化して、耐性ウイルスが出来てしまいます。

この耐性ウイルスが出来ると、治療薬が効かなくなりますから、決められた時間に必ず服用しなければなりません。

さらに副作用と合わせて心配なのが治療費です。

HIVの治療にはいくらかかるのか



HIVの治療費は日本においてはそれほど高額ではありません。

これは保険適用と、社会保証による負担軽減制度を利用すればです。

◆一カ月の治療費

仮に保険適用をしない場合は

約20万円

健康保険を使用すれば3割負担になるので

約6万円

さらにHIVの治療をする場合は身体障害者手帳制度と障害者自立支援制度利用をできるので

無料から2万円(収入に応じて)

の負担で治療が可能です。

個人的な負担額は少なくて治療にも専念できる環境ですが、

保険制度や社会保障制度を利用するので社会全体の負担が大きくなります。

◆感染以後の障害治療費は

HIVに感染以後も私たちが寿命を全うできる可能性は医療の進歩によって高まっています。

しかし、仮に感染後の寿命が40年とすると

毎月20万円×12カ月×40年=9600万円

となり、約1億円の医療費を社会で支えています。

もし、HIVに感染してしまっても日本には寿命全うするまで治療を続ける環境があります。

いろいろな経緯で皆が感染する可能性があるHIVですが、感染の発見は早いほうがよいに決まっています。

世界的に見るとHIVの感染は減っているのですが、日本では感染者が毎年、1500人ずつ増えていると言うデータがあります。

多くの国では性行為による感染症を最小限に食い止めるための

接触者追跡という制度が用いられています。

接触者追跡と言う制度



◆接触者追跡

これは医師が梅毒やクラミジア、淋病、B型肝炎、HIVなどの性感染症に感染している患者を診察した際には所轄の保健所に届け出るという制度です。

連絡を受けた保健所は本人に連絡を取り、性的接触のあった人を教えて欲しいと依頼します。

任意ではあるのですが、本人が教えてくれた場合はその接触者に連絡を取るなどの調査を行う事で感染症の拡大と早期発見と治療に結びつけるものです。


日本にも接触者追跡の制度はあります。

しかし、残念ながら結核の患者以外に適用されません。

ですから、自分で異常に気付いて検査を受けに行く以外に感染しているかどうかを知る方法はありません。

日本ではHIVに感染したのちの治療と寿命を生きるための手厚い制度がある一方で、感染を知るきっかけは故人の意志に任されています。

保健所ではHIVの検査は無料で行ってくれます。

それに医療機関やHIV治療の拠点病院もありますから、少しでもおかしいと感じたら検査を行ってください。

各種検査キットも販売されていますからそれを利用するのも一つの方法です。

自宅で出来る検査キット
さくら検査研究所

匿名検査!◆性病検査 STDチェッカー


HIVの感染後、どのくらい生きられるのかは発見の早さがカギになります。

ためらうことなく検査を受けに行ってください。

検査に関しては
HIV検査を病院で受ける時の料金は?

初期症状については
HIVの初期症状と潜伏期間

を参照してください。

HIV検査キットの使用を勧める本当の理由
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